敬語の効能

敬語には、以下のような効能があります。

 

1)適切な敬意を示すことができる

 

 

もっとも基本的な効能としては、敬語を使って、対象を尊重していることを伝えることができます。

 

 

尊重していることを伝えることは、良好な人間関係を築くために有効です。

2)適切な人間関係を表現することができる

 

 の状況下で尊重されるべき人は誰なのか、判断すべき人は誰なのか、行動すべき人は誰なのか、各々の役割が明確になります。

 

各々の役割が明確になれば、各人の責任遂行がスムーズになりやすくなります。

 

3)主語を省くことができる

 

3-a)話がシンプルに、かつ、わかりやすくなる

「私が『挑戦すべき』と言い、部長が『もっと情報を集めるべき』と言いました」という代わりに、「『挑戦すべき』と申し上げたところ、『もっと情報を集めるべき』とおっしゃいました」と表現することができます。

 

短い文章であれば、主語を省くメリットはあまりないかもしれません。しかし長いやり取りで主語を何度も言うのは話し手にとっても聞き手にとっても煩わしいものです。かといって主語がないと、長い話の途中で誰の発言なのかわからなくなります。

 

尊敬語と謙譲語によって、主語を省いたシンプルな文章でも主語が明確になり、話がわかりやすくなります。

 

3-b)婉曲表現で角が立ちづらくなる

「お客さまご自身で問い合わせてください」と言われるよりも、「直接お問い合わせくださいませんでしょうか」と主語を省いて言われたほうが受け入れやすくなります。

 

 

4)個人に対しては勤勉さ、企業に対してはしっかりした社員教育を想像させる

間違った敬語を使っている人に商品説明をされては、その商品説明も間違っているのではないかと不安になります。

 

一方で正しい敬語を使えるということは、それなりに勉強したことの証左です。(正しい敬語を使う自信がなくても、正しい敬語を聞くと、これは正しい敬語だとわかるものです。)そのような個人に対しても「真面目な人だろう」「頭の良い人かもしれない」と良い印象を持たれますが、それが企業に所属する社員であれば、「社員への教育や管理がしっかりした企業だ」と、企業の印象もよくなります。

 

正しい敬語を使うことが、話している内容や話している本人、ひいてはその本人が所属する企業への信頼にもつながります。