6/1のブログで、客に向かって「ご使用できません」というのは誤用であるという話をしましたが、今回も同様の事例です。
街なかに、堂々と「お持ち帰りできます」の文字がありました。
「お(ご)~できる」は、動作の<向かう先>を立てる言い方でしたね。
これが「お持ちできます」であれば、持っていく先を立てているので、店が配達してくれるのかなと納得できるのですが、問題の文は「お持ち帰りできます」です。
さて、それではこの短い文をそのままに解釈するとどうなるか、考えてみましょう。
動作の<向かう先>を立てる言い方ですので、立てている対象は何かを考えると……、持ち帰る先……、「帰り」と言っているので、動作の主体もそのお宅に住んでいる人ですよね。ということは、持ち帰るという動作を行う人の、恐らくは家族を立てる文章ということでしょう。
持ち帰るその人が持ち帰る先である家族を立てるということはあるかもしれませんが、なぜか、誰が持ち帰るその人なのかも特定できない段階で、持ち帰る先である家族のほうをこそ立てるべきと店が考えた理由がよくわかりません。
しかし、そのように書いてあるのですから、例えば、その言わんとするところを強調して、こんな文章に書き直してみました。
「ご自宅にいらっしゃるご家族さまに、あなたは持ち帰って差し上げることができますよ!」
もちろん、持ち帰る先を立てる必要がなく、持ち帰るお客さまだけを立てるなら、「お持ち帰りになれます」です。
では、また気になる敬語を見つけたら、お伝えします。