気が付けば「ご(お)~できる」を取り上げるのは4回目になってしまいました。完全にシリーズ化していますね。
さて、写真は店頭にあった手書きのPOPです。
紙いっぱいに元気よく書かれた言葉は
「お試しできます」。
「お~できる」は動作の<向かう先>を立てる言葉ですから、どこからどこへ向かうのか、ということが問題になります。
ただ、店頭のPOPということを考えれば、想定される登場人物は2者しかいません。売る側と買う側。店側と客側です。
通常であれば、「試す」のは客でしょうが、そうすると<向かう先>である店を立てることになってしまいます。
当然、POPを書いたのは店側の人間でしょうから、店が客に向かって、店を立てろと言っているようなものです。例えば、下のように解釈されます。
解釈1)我が店のために、客であるお前はこの商品を試してみるがよい。
さあ、どうでしょう。もちろん、こんな尊大な店はないでしょうし、かわいらしいPOPからも尊大な様子はうかがえません。
やはり、立てる対象は客であると思いたいところです。
そうすると、動作の<向かう先>が客になるためには、「試す」という動作を行うのが、店側ということになります。
そこで、次の解釈が成り立ちます。
解釈2)お客さまがご所望でしたら、私ども店員が、お客さまの目の前でこの商品を試しに使って御覧に入れます。
店員が試しても、客に商品の良さが実感できるかどうかはわかりませんが、少なくとも使い方が簡単かどうかくらいの判断材料にはなりそうです。
登場人物が2者しかない以上、上記2つの解釈以外は成り立たないでしょう。
もちろん、客が試す場合の客を立てる言い方は、
「お試しになれます」です。
それでは、また。