■え?「なるほど」ってお客様に使っちゃいけないんですか?
私が行なっている敬語講座の、受講生の方からの質問です。
皆さんの職場にも、上司やお客様に向かって「なるほど」を連発している人っていませんか。人によっては、「なるほど」は目上の人に使ってはいけないということを聞いてか、「なるほどですね」と言っている人もいますね。
上司やお客様と言っても、心理的距離が遠く緊張しっぱなしで話さなければいけない相手と、時には笑いも交えながら打ち解けた話ができる相手とでは言葉遣いも変わります。後者であれば、「なるほど」と言っても、相手は不快に思うことはないかもしれません。
要するに「一概にお客様に使ってはいけないとは言わないが、立てたいという目的には添っていませんよ」というのが回答です。
■立てたい人の前で表現できる感情には制限がある
立てたい人の前で、積極的に表現できる感情は、「敬意」「感謝」「申し訳なさ」「共感」の4つです。
立てたい人の前で、ゲラゲラ笑う人はあまりいません。立てたい人が笑っているのにもう一方が真顔では不自然なので、不自然にならない程度に笑うのが共感による感情表現の一つの例です。
■「なるほど」は感嘆詞
「なるほど」をgoo辞書で引いてみると、感嘆詞として「相手の言葉に対して、その通りであると同意する気持ちを表す。」という意味が出てきます。
上司が、「いいか、新人を育てるには、チームワークの必要性を理解させないといけないんだ」と言われて、「なるほど」と答えたら、それは「そうですね、その通りだと思います」ということになります。
相手が目上であるならば、求められているのは同意ではありません。指示が伝わったかどうかの確認が取れればよいのです。ここは「わかりました」「かしこまりました」と答えるべきところですね。
(実際問題として、部下の同意を得ながら仕事を進めていく上司は素晴らしいと思いますが、ここで話しているのは、立場と役割の話です。)
■他の感嘆詞に「ですね」を付けてみる
例えば、驚いたときに使う「うわあ」や、照れたときに使う「いやあ」に「ですね」を付けてみましょう。
上司「君、来月から海外へ転勤だ」
部下「うわあですね」
上司「君、先月の売り上げトップ、素晴らしいじゃないか」
部下「いやあですね」
慣れてしまって違和感が薄れてしまっていても、「なるほどですね」は上記の例と同じと考えれば、ちょっと控えようかな、という気にもなるのではないでしょうか。
それでは、また。