コールセンターと敬語

先週、こちらのブログで、新しく電話応対研修を始めたとご案内しました。

 

電話応対にはもちろん敬語も必要ですが、いま6つある敬語講座を電話応対研修の中に入れると敬語の説明だけで時間が足りなくなってしまいますので、電話応対研修の中に敬語を含めることはできません。

 

しかしもちろん、敬語が不要なはずはありません。

 

なぜ電話応対において敬語が必要なのか、研修の中では伝えきれない電話応対における敬語の4つの役割についてお伝えしたいと思います。

※ここでいう電話応対とは、コールセンターのようにお客さまからお問い合わせやご意見などが入りそれに対応する内容を想定していますが、対面接客や電話応対専門ではないが電話を取ることもあるというような場合も参考になるかと思います。

 

■役割その1:お客さまの自尊心を守る

敬語はその対象を立てるのが本来の役割です。

適切に敬語を用いることによって、お客さまの自尊心を守ることができます。

 

■役割その2:会社の品格を表す

敬語はTPOに合わせて使い分けられるべきものです。

かしこまった場面であれば、敬度(敬語における敬意の表し方の度合い)も上がり、同時に改まり語(「ここ」ではなく「こちら」というなど改まった場面で使われる言葉)も多く使われます。

 

逆に言えば、高級店としてブランドイメージをアピールしたいのであれば敬度を上げ改まり語を多用し、親しみやすさを打ち出したいのであれば敬度を上げすぎないようにするなどの工夫が必要です。敬度を変えることによって伝わる企業イメージも変わってくるからです。

 

したがって、応対時の敬度をどの程度に設定するかということは各オペレーターが決める問題ではなく、自社のサービスレベルの一つとして考えるべきことです。

 

■役割その3:信頼感を与える

【一個人への評価】

敬語は意識して勉強しなければなかなか身に付きません。

逆を返せば、敬語が正しく使えるということはそれだけ勉強したことを意味します。

誰でもが敬語を正しく使えるわけではない中で、問い合わせてくる側もそんなものだと思っているところがあります。「コールセンターなんてこんなものだよね、どうせバイトだし」という感じです。例えば「パンフレットをご拝見されたということですが、どのようなご質問ですか」というオペレーターに対しては「あまり詳しいことを質問しても分からないだろうが、必要最低限のことはきちんと調べてもらえるといいな」と思いながら質問をすることになるでしょう。

 

そのような中で敬語が正しく使える個人は、「勤勉な人だ」「頭のいい人だ」「仕事に前向きな人だ」という印象をにつながり、信頼感を与えることができます。

 

【企業への評価】

どの対応者も一律に敬語が使えるという場合には、それは個人への評価ではなく企業への評価につながるでしょう。

それは、「教育がしっかりしている企業だ」という評価です。

そしてそれは、「教育を重視している」という姿勢を示すことにもつながりますし、「教育に時間を割く(人件費を充てる)余裕がある」ということにもつながります。

敬語の教育に時間を割ける企業であれば、通常必要とされる商品知識や手続き的知識などは当然教育されているだろうということです。

 

■役割その4:人間関係を整理する

問い合わせてくる人は、問い合わせている会社とその取引先や関連会社との関係性を知りません。ただ、”きっとこうだろう”とお客さまなりに想像して問い合わせてきます。

「その小売店はA社の製品を扱っているんだから、A社の子会社みたいなものだろう」

「配送業者から見れば通販業者はお客さまだから、通販業者から言ってもらえば配送業者は言うことを聞くはずだ」

具体的にお客さまがどのように想像しているかは分からなくても、正しい人間関係を敬語で表現することで、相手の考えを否定する言葉を使わずに修正することができます。

 

もし、自社が配送業者に指示・命令できる立場にないのであれば「配送業者の方がそのようなことをおっしゃったんですね」と正しい人間関係を表す敬語で受け止めながら相手の話を聞くだけで、「配送業者の者がそのようなことをお客さまに申し上げたんですね」と受け止めるよりも、”配送業者に指導はできない”という事実を受け入れてもらいやすくなります。

 

以上、電話応対時に敬語が果たす4つの役割について説明してみましたが、いかがでしょうか。

何か参考になるものがあれば幸いです。

 

それでは、また。