先週は、「コールセンターと敬語」というテーマでお伝えしました。
では、営業やテレアポなどのセールスの場合はどうでしょうか。
セールスであっても基本的に先週お伝えした4つの役割は変わりません。
ただ、お客さまがかけてきた電話に対応するコールセンターと、営業やテレアポなどのセールスではかなり大きく異なる部分もあります。
コールセンターでは画一的な対応が求められるのに対し、セールスの場合、その人らしさを生かすことが求められることです。
コールセンターでは、誰が出ても同じ対応ができるのが理想です。
もちろん全く同じということはあり得ませんが、個性をアピールして自身を印象付ける必要はありません。コールセンターでの対応は、基本的に一期一会なのです。
次にかけてきたときには、前回と違う人が対応するのが普通です。
それでも滞りなく対応ができるのがコールセンターです。
お客さまとの関係性も一定で、常に同じ敬度で敬語を使うことになります。
一方、セールスの場合は、「営業は人なり」などと言うように、いかに人間関係を作って「アイツから買ってやろう」「この人から買いたい」と思ってもらえるかが勝負です。
そうであればこそ、信頼している担当営業が支店を移ったり、果ては会社を変わってもお客さまが担当営業について商品を乗り換えることがあるのです。
とあるトップセールスマンは、成約するとお客さまへの感謝の気持ちを込めて歌うのだそうです。セールスマンとしても珍しいからこそ、何かでこの話を聞いたのでしょうが、コールセンターであれば、決してあり得ないことです。
そのように持続的でかけがえのない人間関係を作ろうとする場合、敬語が邪魔になることがあります。敬語は距離を取る言葉だからです。
親身になってその人の話を聞き、その人の本音に触れてその人に役立つ商品を提案し、その人の信頼を得て売ることができるなら、敬語は必要ありません。
しかし、敬語が必要な場合もあります。
それは、先週お伝えした4つの役割を他の手段で補えないときです。
もう一度、4つの役割をおさらいしましょう。
■役割その1:お客さまの自尊心を守る
■役割その2:会社の品格を表す
■役割その3:信頼感を与える
■役割その4:人間関係を整理する
つまり、敬語を使わなければいけないのは、以下のような場合です。
上記の役割と呼応させながら説明します。
■ケース1:敬語を使わなくてもお客さまの自尊心を守る配慮を言葉や態度で伝えることができるならば構わないが、そうでなければ敬語を使う
■ケース2:会社の品格を傷つけない範囲において敬語を使わなくてもよいが、会社のイメージが悪くなるような言葉遣いはしてはいけない(必要に応じて適宜敬語を使う)
■ケース3:敬語でなくても、自分を信頼してもらえるものが十分にあれば、敬語を使う必要はないが、信頼されにくいようであれば、正しい敬語を使う
■ケース4:相手が、あるべき人間関係をわきまえているならば構わないが、もしわがままや無茶を言ったり、会社とお客さまとしての枠組みが守られないのであれば敬語を使う
敬語の4つの役割は、敬語でしかできないものではありません。(敬語を使うだけでこの4つが満たせるなんて、とても便利でしょ!というものです)
自分なりに、この4つのケースにあてはまるか振り返っていただければ、敬語を使わなくてもよいか、敬語を使ったほうがよいかのバロメーターになるのではないでしょうか。
それでは、また。