デイサービスにて

本来は学生を対象としたプログラムかとは思いますが、夏の体験ボランティアということで、デイサービスのボランティア体験をさせてもらいました。

利用者用の送迎バスもある、上池袋豊寿園です。

 

職員の方からも事前に説明を受けていたのですが、私が話し出す前から利用者の方に注意されたのが「おばあさんと呼んではいけない」ということです。これは、その方だけのこだわりではなく、皆さん同じ思いのようでした。

 

通常の商業施設であれば、「お客様」と呼びかけるところが多いでしょう。

しかし、デイサービスでは決まった人たちが、毎週決まった日数デイサービスにやってきます。デイサービスは単なる商業施設ではなく、生活の一部なのです。

 

スポーツジムのように、毎日のように通う人がいる商業施設もあるでしょう。

しかし、お風呂の介助をしたりリハビリをしたりするデイサービスはスポーツジムよりも、よほどスタッフと利用者の関係が近くなります。

 

「利用者の方」は呼びかける言葉ではありません。「利用者さん」ではよそよそしすぎます。だからといって「おばあさん」で誰でも彼でも済まそうというのはあまりにも手抜きです。さらに「おばあさん」では、呼びかける度に、「あなたは年寄りだ」と言っているようなものです。

 

相手を個性ある一人の人間として認める言葉は「〇〇さん」なのです。その場限りのボランティアであっても、自己紹介をし、相手に関心を寄せなければ名前を知ることはできません。しかし、いったんお名前を伺えば、名前の漢字や由来などを細かに教えてくださいました。一人一人と人間関係を作り上げていくために手間をかける、そして、相手もこれに応える。

単に敬称の問題にとどまらず、これはまさしく一つの敬意の形だと思いました。

 

そして、職員の方が、ありがとうと言ってもらえてお給料がもらえる、素晴らしい仕事だとおっしゃっていたのが印象的でした。とても貴重な経験をさせていただき、上池袋豊寿園の皆様、ありがとうございました。