『ファンベース』と在宅SNSビジネスと『第三の波』

『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』

今日ご紹介するのは、『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』(ちくま新書)という佐藤尚之さんの本です。

私の言葉でまとめると、「見たいものに割り込んで入ってくるCMに代表されるように、売りたいものを強制的に押し付けて、そのうちの数%が購入してくれれば、その他の大多数が不快な思いをしているのは構わない」というセールスの仕方ではもうダメで、「ファン一人一人を大切にし、ファンの声に耳を傾けながらファンと一緒に企業も成長していく」という成長モデルの提唱です。

そしてこの成長モデルの根底は敬意そのものだと感じたのです。

※あくまでも私の理解です。正しくは直接お読みくださいね。

 

私は敬語を教えていますが、敬語は敬意を伝えるものです。

この本を読んだとき、やはり「ビジネスの基本は人間関係であり、人間関係の基本は敬意なのだ」と嬉しくなったのです。

 

■相手を尊重しない態度はファンを失う

この本を読んで振り返って考えてみれば、テレビを見ていて良いところに来ると入るCMを避けるため、必ず一度録画してからしか観なくなってしまいました。また「ぜひお試しください!無料サンプル配布!」とうたわれたメールが届いて先に進むと「真剣に購入をご検討の方」「必ずつながる電話番号を登録」などと制限が出てきてうんざりすることもありました。だったら「ぜひ」ではなく「真剣に購入を検討の方にサンプル配布中です」と最初から分かるように書いてほしいと思ったものです。そのとき思ったのは「ああ、こんな大手でもこんなことするんだ……」ということでした。確かにそのとき、”大手企業だから安心”というイメージは崩れました。

 

どのような手順で話を進めれば相手からYesを引き出せるというような心理学やHow Toはいくらでもありますが、それに頼りすぎれば詐欺と大して変わりません。

 

客を単なる数字やお金やターゲットとしてしか考えない企業姿勢は、ファンとなる可能性を奪うものですらあると言えるでしょう。

 

■Facebookと在宅SNSビジネス

私はFacebookで主に敬語講座の活動報告をしています。ありがたいことに、友達リクエストを下さる方もいらっしゃいます。

しかし、中には友達になるとMessengerで在宅SNSビジネスや副業、投資などを勧めてくる人もいます。Facebook上に書けないことをMessengerで送りたいがために友達リクエストを送ってくる行為に対し、何とも言えないやるせなさを感じるのは私だけではないと思います。

 

ただ、このような人々はMessengerで自分の役に立つ人を探して釣り上げているにすぎません。もともと(大企業と比べると)ファンもおらず、他に影響しないMessengerを使っています。釣り上げられなかった人とはその後関わらなければいいだけです。

金が出てくれば大切にするけれど、金を探すために掘り出す土塊(つちくれ)を大切にする人などいません。

それと同じことです。

 

Facebookは気軽に知らない人と関係が作れ、簡単に関係を切れます。

そのようなツールが、たとえ一対一であっても、人をただのターゲットや土塊としか見ない風潮を作り上げるのでしょう。

 

■第三の波

1980年に出版されたトフラーの『第三の波』では、テクノロジーの進化により、在宅ワークが可能になり、個人が起業しやすくなり、家庭内産業が増えると予言されていましたが、まさにそうなっています。

 

大企業が今までのやり方では通用しなくなってきた反面、個人がある意味無責任に情報発信できるようになってきました。そして無責任な情報発信と信頼できる情報発信を見分けるのはかなり難しいことです。

 

時代が変わっても、使用できるテクノロジーが変わっても、敬意をもって人に接するかどうかは各主体が選択するしかなさそうです。

そして、ともすれば自分のことしか考えられない弱い人間(当然私もその中の一人です)が相手に敬意を払うためのシステムとしての敬語を人にも勧めてまいりたいと思います。

 

それでは、また。

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