先日、いつもお世話になっている本間直人先生から、表題の本を勧められましたので、早速読んでみました。本間直人先生はファシリテーションやコーチングなどの講演で全国を飛び回っていらっしゃる先生です。
■『やる気を引き出す!ほめ言葉ハンドブック』 本間正人・祐川京子著 PHP出版
著者の本間正人氏は本間直人先生のお兄さまです。国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格を日本人で初めて取得するなど、日本にコーチングを紹介した方でもあり、「教育学」を超える「学習学」の提唱者でもあります。
この本では、ほめ方の基本から、相手のタイプに合わせたほめ方など、具体的、実践的に書いてあります。
■なぜこの本をお勧めするか
もちろん、このブログで取り上げている理由は、皆さんに読んでいただきたいからです。
私の敬語講座では、『【ビジネス敬語】敬意と人間関係を伝える敬語を理解する敬語講座』の中で、”ほめる”について触れるのですが、こういうことをしてはいけません、という説明しかできません。実は敬語と”ほめる”では、方向性が真逆なのです。
どういうことかというと、敬語は「敬遠する」などと言うように、相手と距離を取る言葉です。相手に近づきすぎず、相手の領域に踏み込まないように配慮することで敬意を表します。(ネガティブポライトネスとも言います)
「おはようございます」「きょうはいい天気ですね」というように敬語を使わなければ軽いあいさつも交わせない日本語の場合、どうしても敬語に引きずられてネガティブポライトネスが優勢になってしまいます。(「つまらないものですが」などはネガティブポライトネスの典型ですね)
一方で、”ほめる”などの行為は、距離を縮める言葉です。(ポジティブポライトネスとも言います)そして、私は、「敬語とは相手と距離を取るものだから、近づき、親しくなるための言葉は別に必要です」と説明しています。
その、近づき、親しくなるための言葉を身につけるために、この本を読んでいただきたいのです。
■敬語は敬意を表すための一つの手段に過ぎない
敬語はただのツールに過ぎません。目的は、相互尊重にもとづく良い人間関係を維持することです。その目的のために、敬語をはじめ、適度な冗談や笑顔や服装まで、あらゆるツールを総動員します。
人と安全な距離を取るための敬語と、親しくなるためのほめ言葉、両方使えれば、まさに鬼に金棒。敬語講座ではお伝えできない、ほめるスキルについて書かれているこの本を、ぜひご一読ください。
それでは、また。