前回、仕事に雑談は不要と書きましたが、ほんの少しの雑談は人間関係の潤滑油になります。言ってみれば、お汁粉に添えるお新香のようなもの。たまにお新香で口直しをすると、一層お汁粉がおいしく味わえます。お汁粉が重要なことに変わりはないので、無理に行うことではありません。もし、できそうなタイミングがあったら、ちょっと試してみてください。
今回は、そんな雑談の仕方についてご説明します。
■雑談をするなら30秒で十分
もし、同僚や上司と休憩室で顔を合わせたときに、こんな話をしたら楽しんでくれるかなと思えるようなことがあったなら、勇気を出して試してみてください。
「●●さんってラーメン、お好きですか」
「ああ、好きだよ」
「こないだ、会社の近くにある▲▲ラーメンに行って食べてみたんですけど、すっごくおいしかったです」
「そうなんだ、じゃ、食べてみようかな」
「はい、ぜひ。お勧めですよ。では、失礼しました」
話しかけたい人が一人で居るのをみかけたら、こちらから声をかけ、話が終わったら明るく「では、失礼しました」と言って立ち去れば話は広がらず、印象も悪くなりません。
これで十分です。
■雑談のコツ
職場でのちょっとした雑談であれば、コツは3つだけです。
・笑顔で話しかけること
・最初に「Yes」「No」で答えられる簡単な質問をすること
・ネガティブな返事が返ってきたときのことを想定しておくこと
順番に説明します。
1つ目は笑顔で話しかけること。真剣な顔で話しかけられたら、相手が身構えてしまいますからね。もし笑顔が苦手というなら表情の代わりに「ああ、●●さん、ちょっとどうでもいい話なんですけど、してもいいですか」などと、言葉で仕事の話ではなく雑談をしたいことを伝えましょう。
2つ目は、最初に「Yes」「No」で答えられる簡単な質問をしてから、本題に入ること。●●が好きかどうか、●●を知っているかどうか、などです。これを添えると、相手がスムーズに会話に参加できます。
3つ目は、ネガティブな返事が返ってきたときのことを想定しておくこと。そこで黙ってしまうとせっかくの潤滑油がかえってギスギスしてしまうことになります。
「●●さんってラーメン、お好きですか」
「いや、あんまり食べないな」
「あ、残念。こないだ、会社の近くにある●●ラーメンに行って食べてみたんですけど、すっごくおいしかったんですよ」
「そうなんだ、悪いね」
「いいえ。つまんない話でお邪魔しました」
目的はラーメンではなく、会話を楽しむことなので、これでいいのです。
話の内容は何も変えていませんが、ちょっと前後の言葉を変えるだけで自然なやり取りになりました。
相手が喜んでくれて、自分もちょっと楽しかったら、また次も試してみてください。
相手が喜んでいないように見えたり、自分がそれをすることがつらかったら、もうしなくてもなんら業務に影響はありません。
■雑談を返すときも手短で十分
上記は、自分から話かけていますが、例えばラーメンの話を上司からされたときには、よほどの状況でない限り、笑顔で対応してください。笑顔で対応しさえすれば、「ホントですか!じゃ、私も一度食べてみます。」の一言で十分です。
■雑談を断るときも手短に
やはり雑談がつらいという場合、無理に付き合う必要はありません。その場合、不機嫌な顔ではなく済まなそうな顔で手短に断ってください。
「すいません。ちょっと今、●時までに仕上げなくちゃいけない仕事があって……」
このとき、予定表は共有されてるんだからそんなことを言わなくても相手は分かっているはず、と考えて状況を説明しないのはいけません。
■ぶっきらぼうに断ってしまったら
つい、ムッとしてしまったり、緊張して黙ってしまったりしたときも、たったそれだけのことで関係が壊れるわけではありません。
相手の笑顔がサッと消えたのに気づいたら、後から「さっきはすいませんでした。急いでやらなくちゃいけない仕事があって焦ってたもんですから…。」とお詫びをしましょう。それも業務について失敗をしたわけではないのですから、神妙に謝る必要はありません。笑顔で軽く謝ればいいのです。
「向こうが仕事中に無駄話をしているのに、なぜ自分が謝らなくちゃいけないんだ」と思う方は、そのままでも構いません。今回ご案内したのは少しだけ社内での自分の居心地をよくするための工夫にすぎず、大切なのは仕事だからです。
繰り返しますが、雑談はマストではありません。
気軽に、できそうなときだけやってみてください。
それでは、また。
※使用した写真はぱくたそのフリー素材ですhttps://www.pakutaso.com/20141200343post-4926.html