丁寧語さえ使えれば人間関係は円滑になるか?

あ新年度になりました。

昨日から新しい職場での生活が始まった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなとき、気になるのが、言葉づかいですよね。

 

相手に失礼な言い方をしていないかな、生意気なやつと思われるような話し方になっていないかな……。

 

そこで今回は、読者の方から頂戴したご質問を取り上げます。

 

「難しい敬語は使えなくても、丁寧語さえ使えれば、人間関係は円滑になりませんか?」

 

■丁寧語とは

丁寧語とは、話の聞き手や読み手を立てる表現のことで、「です」や「ます」などのことを指します。

 

「あの花はきれいだ」⇒「あの花はきれいです」

「これを買う」   ⇒「これを買います」

などと使います。

 

比較的簡単なので、「ですます調」でしゃべることができないという人はあまりいませんよね。

 

■それ以外の敬語

丁寧語以外にどんな敬語があるかというと、話の聞き手ではなく、話の中に出てくる人を立てる敬語もあります。

 

例えば、家で会社の出来事を家族に話すとき、こんな言い方をするかもしれません。

 

「昨日さ、社長から声を掛けていただいたんだよ」

 

このときの「いただいた」は聞き手である家族ではなく、社長を立てています。

 

■丁寧語だけで人間関係は円滑になるか

丁寧語と、それ以外の敬語を簡単に説明しました。

それでは、その二つを見比べたうえで考えてみましょう。

 

もしあなたが、口頭であれメールであれ、直接言葉を交わすその相手との人間関係だけを考えればいいのであれば、答えはYesです

聞き手しか立てる相手がいなければ、聞き手が多少自分より目上でも「です」「ます」だけで、ある程度の敬意は伝わります。

 

一方で、相手と自分以外の人間関係も含めて表現しなければいけない立場で会話をするのであれば、答えはNoです

 

■「上司も御社に来たいって言ってました」

社会人1年目の営業マンが、取引先に向かって、

 

「上司も一緒に来たいって言ってました」

 

と言えば、初々しくて好感が持てるかもかもしれません。

 

しかし3年目でも同じセリフを言っていたら、きっと相手にされなくなります。

 

この言い方では、丁寧語は使われていますが、それ以外の敬語が不足しているからです。

必要な敬語を補ってみましょう。

 

「上司も一緒に伺いたいと申しておりました」

※実際にはもっと別の言い回しに変えたほうがいいかもしれませんが、先のセリフと比較するため、そのまま敬語にします

 

比較すると分かりやすいと思いますが、先述の言い方では、上司と自分の関係も、自社と相手の関係も言葉の上で表現されておらず、上司も聞き手もまるで友達のようです。

 

■敬語は敬意と人間関係を伝える

敬語は、相手と円滑な人間関係を結びたいというメッセージを伝えるだけではありません。

人間関係(上下関係)を言葉によって見える化し、立場をわきまえ、責任範囲を理解していることを表します。

 

最初は丁寧語だけでも構いません。

少しずつ、他の敬語も身につけてくださいね。

 

それでは、また。