先週は丁寧語だの美化語だのという話をしました。
丁寧語は聞いたことがあっても、美化語という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。
そこで今回は、敬語の分類について少しご説明します。
■敬語の3分類
敬語には、いくつかの分類方法があります。
一番有名なのは、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分ける方法です。
私が小学校で習ったときは、この3分類でした。
(「美化語」もあったかもしれませんが、はっきり覚えていません)
しかし、これは平成19年2月2日から、5つに増えました。
なぜ、日にちまで具体的に言えるかというと、文化庁が指針を出したからです。
■敬語の5分類
敬語の指針では、敬語は5つに分類されています。
「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」です。
3分類では「謙譲語」と呼ばれていたものが、「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ(丁重語)」に分かれ、「丁寧語」と呼ばれていたものが、「丁寧語」と「美化語」に分かれました。
これは、別に敬語自体が増えたわけではなく、分類の仕方を細かくしただけです。
■「謙譲語」から「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」へ
3分類における「謙譲語」とは「自分側がへりくだるときに使う言葉」というほどの意味で「伺う」も「参る」も含まれていました。
しかしこの2つは、実際にはかなり使い方が異なります。「お客さまのところへ伺う」と言えばお客さまを立て、「お客さまのところへ行ってまいりました」と言えば聞き手を立てています。
そこで、この違いを明確にするために、前者(「伺う」)を「謙譲語Ⅰ」、後者(「まいる」)を「謙譲語Ⅱ(丁重語)」と分けました。
■「丁寧語」から「丁寧語」「美化語」へ
次に、「丁寧語」とは「丁寧にものごとを表すときに使う言葉」というほどの意味で、「です」「ます」の他、「お花」「お水」なども含まれていました。
この2つについても、使い方は異なっています。
丁寧語が「あれは花です。」と聞き手を立てる働きをするのに対し、「まぁきれいなお花!」などは独り言でも使えることからも分かるように聞き手を立てる働きはありません。この聞き手を立てる働きを持たないものを「美化語」として「丁寧語」から切り離しました。
さて、私が小学生だったのははるか昔のことですが、今の小学生は、この5分類で敬語を教わっているのでしょうか。
分類が変わって、子どもたちには敬語が分かりやすくなったでしょうか。
実は敬語には、他にも分類の仕方があります。
それについて、来週お伝えしたいと思います。
それでは、また。