先週は、同調圧力に敬語は寄与していないということをご説明しました。
今週は、それならば同調圧力の正体とは何なのか。
わたしたちはどうすればよいのか。
そんなことを考えてみようと思います。
主体的に生きる
どうすればよいか。
結論から言えば、敬語が目指すとおり、主体的に生きるということに尽きます。
例えば、ジェンダー問題に憤慨する女子学生がいたとしましょう。
曰く、
「就職面接になぜ制服のようにみんなと同じ格好で行かなければならないのか」
曰く、
「スカートでなければならないと誰が決めたのか」
答えは、「制服のようにみんなと同じ格好で行かなくてもいい」し「スカートでなくてもいい」です。
いや、多様性を認めない企業が嫌なら、みんなと同じ格好で面接に行ってはいけないし、スカートをはいて行ってはいけませんね。うっかり受かってしまうかもしれませんから。
しかし、彼女の言わんとするところは恐らく違います。
「自分らしい服装でいいんですよ」「スカートをはかなくてもいいんですよ」と相手から言ってほしいのでしょう。
自分がジェンダーフリーな会社を探すのでもなく、スカートをはかなくても協調性があることを言葉で説明してみせるでもなく、相手から。
自分のありたい自分でいればいい
敬語は、自分のありたい自分を実現するために使うものです。
その自分を実現するためには、人との関係が必要だから使うのです。
「子どもの将来のためにも会社をクビになるリスクは取れない」
「１年も休んで仕事に後れを取るのは嫌だ」
このように考えるなら、育休など使わなければいいことです。
「子どもはあっという間に大きくなってしまう。
この時間は何ものにも代えがたい」
何ものにも代えがたいなら、クビになろうと嫌がらせを受けようと育休を取ればいいだけです。仕事も頑張ってきたし、人にも失礼のないように接してきたなら、きっとどこへ行ったって働けます。（ただ、できることならそうならないように、普段から誠意をもって人と接しておきましょう）
同調圧力の正体は
本当はこうありたいけれど、●●のせいで……。
これでは、主体的とはいえません。
育休を取りたい VS. ほんのわずかでも嫌われたくない
自分らしい格好で面接に行きたい VS. 不採用になるリスクは避けたい
これらは両方とも自分で決める問題です。
自分の問題を棚上げしておきながら、
「自分が育休を取りたいから、みんなから育休を取れと言ってほしい」
「どんな格好で面接に行っても採用すると約束してほしい」
と考えるのは、今自分が置かれた状況を受け入れその中で主体的に生きる敬語とは逆の考え方です。自分で解決すべき問題を、周りが勝手に変わってくれれば解決するのにと期待するのは、謙虚とは真逆の行為です。
Yesが確約された状態でしか、その問いが出せないなら、それは同調圧力のせいではなく、予測できない未来への不安がその正体なのではないでしょうか。
人生は選択の連続で、どんな選択をしようとその結果は自分に返ってきます。
別の選択をしたかったけれど、それだと未来が読めないから満足ではなくとも予測しやすいほうを選択した。これが同調圧力の一側面ではないでしょうか。
もしそうならば、同調圧力がなくなってほしいと願う一人一人が、まさに同調圧力を作り上げていることになりはしませんか。
他人から好かれることよりも、まずは自分自身が「これが今の自分だ」と言える生き方、それが主体的な生き方のスタートです。
次に、その自分を受け入れてもらうための努力をするのです。
その努力を助けるためのツールの一つとして、敬語があります。
クリスマスイブにこんな堅い話を読んでくださった皆さま、
メリークリスマス🎅🎄
そして、
ハッピーニューイヤー🎍
それでは、また。