敬意のインフレあるいは敬語のデフレ

スーパーへ買い物に行ったら、軒並み商品に値上げの告知が貼ってあってびっくりしました。


バブル崩壊後の日本はデフレの国であり「2%の物価目標」など達成されることはないだろうと思っていましたが、このところの物流の混乱や原油価格の高騰が響いてさまざまな商品が続々と値上がりしています。

インフレとは物の値段が上がること。同じ商品を買うのに例えば一枚の紙幣を差し出せばよかったものが、もう少し多く出さなければならないということです。物の価値が上がって値段が上がる分には結構なことですし、人々の財布の紐が緩んで高いものが売れるならもっと良いことです。
でも残念ながら今回はそのような好景気によるものではありません。日本円の価値が下がってインフレになるのも困りものです。

 

さて、敬語の価値が下がれば敬意もインフレになるのでしょうか。

 

店頭では定型文のように「~させていただいております」などの過剰な敬語が使われ、テレビを見れば話題にしているその人との関係性などお構いなしに敬語を使って表現されています。そんな中、やむなく私も、会ったこともない人から初めて届いたメールに書かれている「いつもお世話になっております」という言葉には反応しない訓練をします。また、電話をかけて「あいにく担当はお休みを頂いております」と言われたときには、言った本人は会社を立てていることに気づいていないのだから責めてはいけないとため息をつきつつも聞き流すようにしています。

 

同じ敬意を表すのに一つの敬語を差し出せばよかったものが、最近はもう少し多くの敬語を出さなければならなくなったということなのでしょうか。
いや、「もう少し」ではなく、「あらん限りの」と言ったほうが正確かもしれませんね。

相手への敬意が強くなったので敬語も多めに使うというなら喜ばしいことですが、敬語の持つ価値、つまり敬語が伝える敬意の度合いが下がってしまったとしたららこれは問題です。

果たして本当に敬語の価値は下がったのでしょうか。
私には、価値が下がったのではなく、そもそもせっかくの価値を知らない人が多いように思えてなりません。

お金も敬語も使い方を間違えてはいけません。

価値に見合った適切な敬語を使いましょう。

 

それではまた。


不適切な敬語は、文法を知らないまま使っていることが原因です。知らなくては、正しい敬語を使いようがありません。そして、誰かに聞こうにも教えてくれる人が周りにいないのが、多くの人が置かれている現状です。

私も周りに聞ける人がいなくて敬語を身につけるのに苦労しました。そこで、こんな記事を書いております。ご自身の敬語が気になる方は、どうぞ参考になさってください。きちんと学びたい方には、講座も開催しております。

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