桃太郎はきび団子をやったのか?あげたのか?

あなたは、ペットに餌をやりますか?あげますか?

「あげる」という人が、特に女性には多いかもしれません。

 

この「やる」「あげる」問題の代表格といえば、童謡『桃太郎』でしょう。
え?桃太郎の「やる」「あげる」問題をご存じありませんか?

も~もたろさん も~もたろさん ♪

誰もが一度は聞いたことも歌ったこともあるこの歌ですが、さて、なんと歌いましたか?思い出してほしいのは、下記歌詞の続きのフレーズです。

 

お腰につけたきび団子、一つわたしに下さいな♪

ハイ!

 

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どうです?続きは思い浮かびましたか?

Wikipediaには1911年(明治44年)の『尋常小学唱歌』として以下の歌詞が掲載されています。


やりましょう、やりましょう

これから鬼の征伐に、ついて行くならやりましょう


え!?私は「あげましょう」で習った!
という人はいませんか?

私の記憶では「あげましょう」でした。

 

お子さまがいらっしゃる方はぜひ、今はどちらで習っているか、聞いてみてくださいませ。どうも「やりましょう」が復活してきているらしいのです。

ではいったいどちらが正しい言葉遣いでしょうか。

やる>あげる>差し上げる

 

「やる」と「あげる」について考えるには、もうひとつ「差し上げる」もセットにして理解しましょう。

そして、対語もセットで理解してしまいましょう。

さらに、それぞれの言葉の敬度(=敬意の度合い)も確認しておきましょう。

※敬度は感覚的なものなので、あくまでも私の感覚で表すとこうなるというものです

表の見方としては「+」が多いほど敬度が高いことを表します。

そして「やる」の敬度はゼロ(表では「±」で表しました)です。

一方、「くれる」という言葉には、そもそも謝意が含まれています。謝意は敬意に通じます。それを表では「+」で表しました。

 

やる ⇒ あげる ⇒ 再び「やる」へ

 

ここで注意していただきたいのは、ゼロにマイナスの意味はありません。決して相手を馬鹿にしたり見下げたりするものではないのです。だから、相手を見下げて使うときにはあえて本来不要な「くれる」を加えることで、嫌味として「くれてやる」と言わなければなりません。

 

したがって、犬やサルやキジにきび団子を「やる」ことに問題はなく、子どもへの小遣いを「やる」のも問題はありません。

 

今では「あげる」が基本位置である「±」のようになってしまい、あたかも「やる」がぞんざいな言葉のように勘違いされているので、その反省として桃太郎の歌詞が「やりましょう」に戻ってきたのかもしれません。

 

ただし、現時点で「あげる」は、目下に何かを与えるときにかなり一般的に使われる言葉です。「あげる」と言ったからといって目くじらを立てず、「やる」と言ったからといって粗野だと判断することのないようにお願いします。

 

それでは、また。


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