医者になる
お世話になった方が医者になったと聞いたなら、なんと言うべきでしょうか。
もちろん「医者になったんですかぁ。すごいですねぇ!」でもよいのですが、敬語を使ってもう少し敬意を込めるとこうなります。
「医者におなりになったんですか」
例文の「お~になった」の部分が、医者になったその人を立てる主体尊敬の使い方です。
では表題を活用して「お医者になったんですか」と言うことはできないでしょうか。
結論を言えば、できます。
しかし、意味が変わります。
医者におなりになるVS.お医者になる
■医者におなりになる
ちょっとややこしくて申し訳ないのですが、「医者になる」という文章を敬語にするとき、敬語にすべき単語は「なる」です。
だから、「おなりになる」になります。
■お医者になる
一方で、「お医者になる」の場合、敬語を使わない元々の文章が「医者になる」ですから、「お~になる」という敬語の公式には当てはまりません。(「になる」は敬語にするために付け加えた言葉ではありません)
「お」がかかっているのは「医者」の一語だけです。
そして、医者というのは役割であって誰か一人に紐づいているものではあり
ませんから、誰か特定の人を立てるものではありません。
このような使い方を「美化語」といいます。
「お医者」ではなく、「お医者さま」でも同じです。
読み比べてください
子どもが「この医者ヤブだ~!」と騒いだとき、
「サトウ先生に向かってなんてこと言うの!」と叱る場合と、
「お医者さまに向かってなんてこと言うの!」と叱る場合で、
ニュアンスが違うのが分かりますか?
敬語の混乱しがちなところを説明してみました。
それでは、また。