いつも私のブログをご覧になっている方は、英単語が書かれたタイトルを見て驚かれたかもしれません。
このブログでは毎週敬語について書いていますが、敬語とは敬意表現の一つに過ぎません。
たとえば、目上の人の前で足を組んだり頬杖をつくのは(少なくとも日本では)失礼にあたるでしょう。身だしなみや姿勢に気をつけるのも敬意表現です。敬語を使わなくても、敬意を表現するような言葉を選ぶことも、もちろん敬意表現です。
私は外国語が使えず、日本の敬語についてだけ説明していますが、世の中には英語を使った敬語や敬意表現についてブログを書いている方もいます。
今回は、英語の敬意表現から、日本語を振り返ってみたいと思います。
英語から学ぶ敬意表現
「させていただく」の注意点
日本語の表現で、この”insist”と同じように、ただし間違って使われやすいのが「させていただく」かもしれません。
a)「少しご案内をさせていただきます」
b)「ご指示いただいた資料はメールに添付して送らせていただきました」
本人は敬語をたくさん使って丁寧な言葉遣いに満足しているつもりでも、状況によってはかえって失礼になりかねません。
ポイントは、上記で説明した「相手の役に立ちたい」「相手を喜ばせたい」が根本にあるか、それは独りよがりではないかという2点です。a)b)2つの例文にしても、それは相手が望んでいることなのか、それともこちら都合なのかによって意味が変わってくるということです。
a-1)本来であればまだ案内できないことだけれども、相手が望むので少しだけ案内する
a-2)別件で問い合わせてきた客に、関係ないキャンペーンの案内を聞かせる
b-1)データ化して客先に送りたい資料があるから探して机の上に置いておいてくれれという指示に対し、時間が取れたのでデータ化までした(資料も机に置いた)
b-2)資料があったと報告すると、次の指示が来るかもしれず面倒なので顔を合わせなくて済むようにメール添付で終わらせたい
同じ言葉であっても、1は敬意、2は敬意に反することが分かるでしょう。
その敬語は敬意を表しているか
日本のような敬意表現専用に作られた敬語体系は、様々な言語の中でも珍しいかもしれません。しかし敬意は当然のことながらどの文化にもあります。
それでは、敬語が発達した日本文化の中にいる私たちですが、先に挙げた例文abを言われたときに、それが自分への敬意かどうか正しく判断できるでしょうか。敬語を使われているんだから自分は立ててもらっているんだろうなどと安易に思ってはいませんか。
敬語を使う側はどうでしょう。教えられたとおりに敬語を使うことが、それが失礼な行為でないかどうか相手の立場に立って考える作業を怠ってもいいという免罪符にしてはいませんか。
敬意表現専用の言葉などないほうが、もしかしたら話すほうも聞くほうも敬意に敏感かもしれない……。
そんなことにならないように、互いが敬意を払い、尊重し合う関係性を作るために敬語を使ってください。
それでは、また。