ビジネスメールにおける「よろしくお願いいたします」「よろしくお願い申し上げます」の使い分け

先日、読者からご質問を頂戴しました。

それがこちら。


電子メールの結びに「よろしくお願いいたします」「よろしくお願い申し上げます」という言葉を用いることが多いが、この使い分けを教えてほしい。


かしこまりました。

ということで、今回は、「よろしくお願いいたします」「よろしくお願い申し上げます」の使い分けについてご説明します。

冒頭のあいさつと揃える

手紙の場合、「拝啓ー敬具」「謹啓ー謹白」というように手紙の冒頭に書く頭語と手紙の最後に書く結語の組み合わせが決まっています。

これは、「拝啓」よりも「謹啓」のほうが敬度(敬意の度合い)が高いので、結語の敬度も冒頭と揃えるためです。

 

同様に、メールでは「いつもお世話になっております」などといった言葉を冒頭のあいさつに使うことが多いのではないかと思われますが、その場合、終わりのあいさつは「よろしくお願いいたします。」ぐらいにしておいたほうがよいでしょう。

これが、「平素より大変お世話になっております」と書きはじめるのであれば、「よろしくお願い申し上げます。」で締めたほうがバランスが取れます。

ピークと揃える

もう一つ気を付けてほしいことは、ピークと揃えるということです。

この場合も、何を揃えるかといえば、敬度を揃えるのです。

 

例えば、普段から電話や対面でもコミュニケーションを取っている取引先であれば、メールでも「いつもお世話になっております」というように、あまりにも丁寧になり過ぎない言葉遣いで書きはじめることが多いと思います。

 

そんな相手であっても、謝罪しなければならないことがあった場合、例えば下記のように敬度の高い言葉を使います。

 

「この度は、弊社の不手際により貴社に多大なご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。」

 

メールの途中に敬度の高い言葉が使われているのに最後がそれより低いと、相手が読んだとき「謝ったからもういいやと思っているのではないか」という印象になりかねません。

 

そのような場合も終わりのあいさつは「よろしくお願い申し上げます」を使います。(もちろん、どんな場合もこの言葉一つを使えば済むと言っているわけではありません。状況や自分の気持ちと合っているように適宜工夫してください)

基本は敬度を一貫させる

最初と最後を揃える、ピークと最後を揃えるという二つをご案内しましたが、これには、前提として全体の敬度を一貫するという原則があります。

 

基本として使っている敬度が一貫していればこそ、最初と最後だけ敬度が高い、ピークと同じ敬度を最後でも忘れていない、ということが伝わります。どこかから引っ張ってきたようなフレーズを継ぎはぎしてメールを書いていると、メール内で使われている敬語の敬度がバラバラになってしまいます。これでは、どのぐらいの敬度を基本にしようと書き手が考えているのかが分かりません。

 

敬語をしっかりと身に付けて、敬度をコントロールしてくださいね。

それでは、また。