「様」と「さま」の使い分け

スタートが遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

年賀状は出しましたか?

宛名の後にはほとんどの人が「様」と書くと思います。

 

何を当たり前なことを思われるかもしれませんが、特に接客業におけるメール対応などでは「さま」と平仮名を使うことも多いのです。

 

そこで今回は「様」と「さま」の使い分けについて取り上げます。

「さま」が出回るようになった理由

平仮名の「さま」が出回るようになったのはわけがあります。


本来「様」とは「様子」などと使うように、「〇〇の様」を表す言葉であり敬称としての意味はなかった。それが、敬称である「さま」と同じ音なので当てはめた単なる当て字である。


真偽のほどは分かりませんが、このようなことが言われるようになったのです。そこで、私のいたコールセンター業界でも、平仮名の「さま」を使うように推奨する、もしくは漢字の「様」を禁止するクライアントがありました。

「様」と「さま」はどちらが正解?

まず、漢字の基準になるものとして、内閣告示である「常用漢字表」があります。

ただし、これはその前書きにも書いてあるように「漢字使⽤の⽬安」であり、強制力はありません。また、常用漢字表は完璧なものではなく、例えば「学」という字に「ガッ」という読み仮名は掲載されていません。従って、AI(人工知能)にこの常用漢字表を覚えこませただけでは「学校(ガッコウ)」を正しく読み上げることはできません。

 

そこで、常用漢字表に従いつつ、実際にどのように表記するのかの基準となるよう、下記のような書籍が出版されています。

 

・日本速記協会『標準用字用例辞典』

・共同通信社『記者ハンドブック』

・日本放送協会『NHK新用字用語辞典』

 

上記は一部であり、実際にはもっと様々な辞典や手引きがあります。

「様」か「さま」かという問題についても、『標準用字用例辞典』では「様」、『記者ハンドブック』では「さま」を推奨しているという状況です。

 

したがって漢字と平仮名の使い方には様々な基準があり、どちらが正解とは言えません。それぞれの会社の文化があると思うので、社内で作成されたメールや文書に倣ってください。

 

ただ、敬語の考え方を広めるべくブログを書いている私としては一つ補足しておきたいことがあります。

敬意を基準に使い分けを考える

敬意を表す手段として敬称を使うという目的から考えれば、最初にこちらから送るメールの場合は社内のやり方に従い、相手からメールが届いた場合には相手の書き方に従うというのが適切でしょう。

ちなみに、封筒やハガキに宛名を書く場合には漢字で「様」とするのが一般的です。

もし、今回のブログを読んでご興味が湧いた方がいらっしゃったら、「常用漢字表」もご覧になってみてはいかがでしょうか。

それでは、また。


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今年は敬語を身に付けようとお考えでしたら、ぜひご検討ください。