「お敷地」~#気になる敬語

「お敷地」は正しいですか?

読者の方から、住宅メーカーのYouTubeを見ていたら「お敷地」という言葉を使っていたが、これは正しいのか、というご質問を頂戴しました。

 

住宅メーカーということなので、恐らくは自社モデル建築の「お敷地」と言っていたのではないかと想像いたします。だとすれば、誰かを立てる目的ではなく、話し手の品を上げるために「お」を使っていたことになります。
(もしかしたら実際には違うかもしれませんが、そう仮定して今回は美化語の説明をしたいと思います)

【美化語】について

基本的に敬語は誰かを立てるために使います。そして、立てる対象は、「主体」「受け手」「聞き手(読み手)」の三者です。

しかし、同じ「お」を付けておきながら誰も立てない使い方があり、それを【美化語】と言います。

 

そして、美化語について問題になるのは、付けなくて失礼にあたったというケースよりも、今回ご質問を頂戴したように、付け過ぎておかしいケースというほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。

 

 

それは、美化語にも幅があるからです。以前説明した「おなら」のように「お」を外すともう意味が通らなくなってしまうものから、普段は「花」と言うのに、あまりにもかわいらしくて「うわぁ、かわいい花~🥰」と言ってしまうものまであり、問題になるのは後者のほうなのです。もちろん、友人や恋人と話すなら「お花」でも「お人形」でもいいのですが、これを公的な場で使うとちょっと恥ずかしいですよね。

それは独り言でも言いますか?

 

そこで、おかしな美化語を使わないための見分け方をご紹介します。それは、「独り言でも言うだろうか」ということです。

「明日の弁当、なんにしよう?水も持って行っておこうかな。あ、金も下ろさなきゃ」と考える人は「お弁当」「お水」「お金」と使ってください。でも「お敷地」と独り言で言ったことがないなら、そんな美化語は使わないでください。

住宅メーカーに入社し、周りの先輩や上司が「お敷地」と口をそろえて言っているのを聞けば、真っ当な神経の持ち主なら真似します。真似しているうちにそれが普通になっていくものです。もし、自分が既にその業界や不自然な美化語に染まり過ぎてしまったのではないかと心配な人は、他業種の知人や家族に独り言で言うかどうかを聞いてみてはいかがでしょうか。

 

地域や文化によって多少は差がありますが、これを覚えておけば、あまりにもおかしな美化語は避けることができます。なかには、「別に思い入れのない人形でもお人形と言う私は美化語の使い方がおかしいのだろうか」、と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは気にしないほうがいいと思っています。そもそも「お」が付けられないという一定の条件はありますが、美化語の作り方を完全に表せるルールはありません。したがって、自分の中にある基準を疑うと、基準がなくなってしまうからです。

 

それでは、また。