紹介したのは誰?~「いただく」「される」ちゃんと使えてますか?

あなたは営業マンです。

自分の顧客である山田さんから、新たな見込み客として鈴木さんを紹介してもらいました。

 

では、ご紹介いただいた方は誰ですか?と訊けば、「え?僕ご紹介いただきましたが……、何か?」と答えることでしょう。「鈴木さんご紹介いただきました」という答えもアリです。答えとしてあり得ないのは紹介者である山田さんです。

では続いて、ご紹介されたのは誰ですか?と訊けば「それは山田さんです」などと返ってくるかもしれません。

 

それでは、次の写真をご覧ください。某キャンペーンポスターの一部です。

さて、山田さんと鈴木さんでいえば、どちらがどちらに該当するのか、少し考えてみてください。いったいどちらが紹介者で、どちらが紹介された側でしょうか……?

さて、いかがでしょうか。
では、ポスター全体を見てみましょう。

これはフィットネスクラブに貼ってあったポスターです。

紹介キャンペーンということは分かります。

もう入会している人は入会金が0円でも意味がありませんし、「スタート」という言葉も見られることから、右がこれから入会する人、つまり紹介される側ですね。

ということは消去法でデジタルギフトがもらえる左側が紹介者ということになります。

 

……。

言葉を見ても意味が分からず、ポスターが張られている状況や内容を見て判断しなければならないとしたら、敬語とは単なる雑音でしかないではありませんか。


今回のポスターは敬語に対する知識不足からくる単なる間違いであり、状況や他の情報と併せて考えたときに、特に失礼な態度や悪意は認められません。

ですが、時には違うものが透けて見えることもあります。

 

何を言っているかは分からないけど、状況から判断してきっとこういうことを言いたいんじゃないかなぁという訓練をしていると、誰かが「あなたのために%$#*★」「もう一度信じてもらえるよう◆▼*@~&%■」とよく意味の分からないことを言っていても「きっと私のため、私の信頼を得ようとしているんだろうなぁ」と流すようになり、肝心な話の中身はおざなりになっているかもしれません。その結果、痛い目を見るのは自分自身です。

 

フィットネスクラブであろうと何であろうと、自分より偉いから、自分より賢い(に違いない)から、と思って分からないことを流してはいないでしょうか。問題ないと判断したうえで流すのは構いませんが、流すのが習い性になっていると、やがては自分自身の首を絞めることにつながるかもしれません。

そして、これは習い性というだけでなく、未必の故意として訓練されているのかもしれません。


さて、それでは今回のポスターについては、どのように書けばよいのでしょうか。

 

「方」も立派な敬語ですから、「紹介した方に」「紹介された方は」で十分だと思うのですが、いかがでしょうか。

 

そしてもう一つ、「ご紹介された」って間違いじゃなかったっけ、と気づいてくださった方はいらっしゃいましたか?

何度か取り上げている間違い敬語ですが、次週深堀したいと思います。

 

それでは、また。