「申し訳ありません」は正しい敬語といえるのか

「とんでもございません」が本来は間違いであるということをご存知の方は多いのではないでしょうか。「とんでもない」という形容詞なので、「きたない」を「きたございません」とは言わないように「とんでもございません」も(本来は)間違いです。

一方でこちらはあまり知られていませんが、同様に「申し訳ございません」も本来間違いです。しかし、「申し訳ございません」という言葉を禁じられたら困る職業人は大勢いるのではないでしょうか。たとえば接客業において、「申し訳ございません」は必須の言葉の一つです。

 

逆にいえば、間違っていようといまいと「申し訳ございません」が浸透していてそれがなかったら困るように、「とんでもございません」も今は『敬語の指針』において、正しい言葉として認められています。

※『敬語の指針』にあるからと言って、使わなければいけないわけではありません。

※「申し訳ございません」の弊害については以前の記事ご参照ください。

 

その前提に立ったときに、「ございません」がいいなら、「ありません」でもいいはずだというのが、今回頂戴したご質問の主旨です。

 

結論から言えば、よい、ということになります。

ただ、使い分けはちゃんとしましょう。

 

使い分けとは、敬意の度合いである敬度のことです。

申し訳ない < 申し訳ありません < 申し訳ございません

の順で敬度は上がっていきます。

また、「申し訳ない」とは、謝罪の言葉ですから、地の文よりも敬度が上がるのが通常であり、下がるのは不自然です。

 

つまり、タメ語で話す相手なら「申し訳ない」でいいかもしれませんが、「ですます」調で話す相手なら「申し訳ありません」でいいかの検討が必要であり、「ございます」調で話す場合には「申し訳ございません」の一択になるということです。

 

それでは、また。